あついぞ!熊谷
熊谷で所用ついでに、ぶら旅してきました。
『あついぞ!熊谷』というキャッチフレーズでおなじみだった熊谷市は、
毎夏40℃を超える猛暑地として有名です。
「だった」と過去形にしたのは、
市が数年前にこのキャッチフレーズをやめてしまったから・・・。
廃止の理由は「マイナスのイメージがあるから」だそうです。
私的にはちょうどいい自虐と、「あついぞ!イエーイ!」といったノリで、
むしろポジティブに受け取っていたのですが・・・。
『灼熱地獄!熊谷』より、全然いいですよね。
そんな熊谷ですが、気候もすっかり秋めいて、今こそ観光の時期です。
妻沼聖天山
『妻沼聖天山』を参拝しました。
日本三大聖天(埼玉・東京・奈良)のひとつに数えられる、名高い寺院です。
色鮮やかな彫刻が施された本殿(歓喜院聖天堂)は、
埼玉県で唯一の『国宝』に指定されている建造物です。
その豪華絢爛な姿に、「埼玉日光」「埼玉の日光東照宮」などと呼ばれています。
こちらへは、2年連続の訪問です。
本殿の大規模な修復工事が完了したのことで、再度見学。
昨年は、公開はしていたものの、まだ修復途中でした。
(※過去の写真も使用しているため、空が晴れたり曇ったりと天気が忙しいですが、
ご容赦ください。)
■ 門
一直線に伸びる参道上には、いくつかの門が並んでいます。
最初の門の中央に立ち、その先に視線をやると、、、
1番奥の拝殿まで見通すことができます。
1つめの門、『貴惣門』
3つの屋根(下段裏側にも屋根があります)が貴惣門の特徴で、
この様式は日本で3棟しか現存していないそうです。
門の左右には『二天王像』が安置されていました。
右側:毘沙門天(写真)
左側:持国天
足元には、踏みつけられた邪気の姿が。
踏まれて喜んでいるように見えるのは、私だけでしょうか?
2つめの門、『中門』
江戸初期、火災に見舞われた際、唯一焼けずに残った門なのだそうです。
中門には、霊場の看板がかけられていました。
私も『江戸三十三観音』や『坂東三十三観音』など巡っていますが、
まだまだ知らない札所めぐりがあるものですね。
3つめの門、『仁王門』
これが、最後の門になります。
左右には、仁王像。
浮き出た血管がたくましすぎる仁王様です。
そんな恐ろしい出で立ちの仁王様の前では、猫ちゃんがお昼寝をしていました。
仁王様に見守られて安心しきっている様子です、、、かわいい。
■ 歓喜院聖天堂
3つの門をくぐり、やっと拝殿にたどり着きました。
大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん) 通称:聖天さま
【御利益】
縁結び・家内安全・商売繁盛・厄除け開運・交通安全・学業進学
【御由緒】
妻沼聖天山は斎藤実盛が、当地の庄司として、祖先伝来のご本尊聖天さまを治承3年(1179年)にお祀りしたのに創まる。
実盛公は平家物語、源平盛衰記や謡曲実盛、歌舞伎実盛物語などに、武勇に勝れ、義理人情に厚い人柄が称えられている。次いで実盛公の次男斎藤藤六実長が出家して阿請房良応となり、健久8年(1197年)に本坊の歓喜院を開創した。
(出典:パンフレット)
参道には、開祖、斎藤実盛公の像があります。
左手には鏡、右手には筆を持っています。
実盛公は、一体何をしているのでしょう?
これは戦の出陣前に老兵と悟られないよう、
墨で白髪を染めている様子なのだそうです。
■ 本殿
拝殿でお参りを済ませ、「埼玉日光」と呼ばれる所以である本殿を拝観します。
拝殿までは無料ですが、ここからは700円の拝観料が必要です。
ちょうどの時間に行くと、ガイドさんがついて説明をしてくださいます。
(10時から15時までの60分間隔)
私は中途半端な時間に行ってしまったのですが、
他に参拝客がいなかったためか、ガイドさん付きで見ることができました。
その辺、臨機応変に対応してくださるようです。
まずは入口で聖天山の歴史を聞き、いよいよ本殿めぐりのスタートです!
先ほどお参りした拝殿の奥は、このようになっています。
右から、拝殿・中殿・奥殿と続く、権現造り。
奥殿に進むにつれて、だんだんと装飾が豪華になっていくのがおわかりでしょうか?
これは、人が入る部屋と聖天さまがいらっしゃる部屋を区別しているのだそうです。
そして、こちらが本殿です。
黒の漆塗りに、金の装飾、色鮮やかな彫刻の数々・・・
この豪華で派手なたたずまいは、日光東照宮を彷彿とさせます。
本殿のきらびやかさは外観のみならず、中も部屋一面金で覆われているのだとか。
内部も拝見したいものですが、、、お寺の方でも入室が許されないそうです。
■ 彫刻
この写真の中に、一箇所だけ塗装されていない部分があります。
「完成させてしまえば、後は崩れて行くのみ・・・」
そんな考えから、あえて未完成のままにしてあるのだそうです。
川でおぼれそうになったサルを助ける鷲(聖天さま)の絵。
お酒を飲みながら囲碁を楽しむ、大黒様と恵比寿様。
囲碁に夢中になりすぎて、商売道具で遊ばれてしまっています。笑
他の場所では、弁天様が双六で遊んでいました。
獅子舞の後ろで「あっかんべー」をしている子供や、
相撲に参加する気がまったくない男の子(1番左)などなど、
ユニークな情景を描いたものもあり、思わず笑ってしまいました。。
これらの彫刻は、立体的に彫られていて、とても躍動感があります。
パーツごとに彫ったものを重ねているのかと思いきや、
『透かし彫り』と言って、1枚の板から作られているのだそうです。
これを聞いて、ビックリ仰天!!
昔の人の技術って凄いですね・・・。
■ 修復
色鮮やかに修復された本殿ですが、修復前はどんな姿だったのか気になりませんか?
調べてみると、ビフォーアフターについて書かれたサイトを見つけました。
熊谷市公式サイト:修復前と比べてみよう
元の姿の写真を見て、これまたビックリ仰天!
まったく色味のない、どすっぴんもいいとこです。
あの状態からよくここまで復元できたなと・・・言葉になりません。
修復工事には約7年もの歳月がかかっています。
ガイドさんのお話によると、、、
工事に取り掛かる前に、まず色材の調査をする必要があったそうです。
どんな色だったのか?
その色には何の顔料が使われているのか?
データ化するだけでも大変な作業だったようです。
この写真は、昨年の参拝時のもの。
縁側の途中までしか塗られていません。
この時は、国産の漆が調達できず、作業が進まなくなってしまったとのこと。
「中国産の漆ならすぐ塗り終わるんですけどね・・・」
とガイドさんがおっしゃっていました。
「これだけ大規模な修復工事なのだから、お値段も高いんでしょう?」
と思いますよね?
総工費13億5千万円かかっているそうです。
(内訳:国・県・市(10億円)、信者(3億5千万円))
感覚がよくわかりませんが・・・この豪華さですからね、納得っちゃ納得です。
修復前を見たら尚更そう思います。
歴史を残して行くのは、技術的にも金銭的にも、本当に大変なんですね。。。
最後に、本殿の横に並ぶ神社を見て、本殿めぐりは終了です。
これは、稲荷神社でしょうか・・・?
ワンちゃんのお家みたいですね。
* * *
こういったお話を聞くことができるので、ガイド付きはオススメです。
(理解できない難しい話も多々ありますが・・・)
ただ、普通に見るだけなら5分で十分なところ、ガイド付きは1時間近くかかります。
なので、時間に余裕がある時に行かれた方が良いかと思います。
■ ???
寺社めぐりに行かれる方は、この記事を読んで違和感があったかと思われます。
拝殿の写真に狛犬が写り込んでいたり、
権現造りだったり、「本殿」と呼んだり・・・まるで神社。
ガイドさんもパンフレットも「本殿」と呼ぶので、気になって聞いてみたところ、
「神仏習合時代の名残で、神仏分離の時に寺として残ったのですが、
そのまま「本殿」と呼んでいます。」
とのことでした。
■ 境内
鐘楼
弘法大師を祀る『大師堂』
エノキとケヤキが寄り添った『夫婦の木』
軍荼利明王を祀る『軍荼利の滝』
(2019/09/18現在、マムシ出現のため立入禁止)
『平和の塔』
御朱印
御朱印をお願いしたところ、瓦煎餅までいただきました。
久々に食べる瓦煎餅。
懐かしい甘みです。
牛乳と一緒に食べると、おいしいですよね。
★ブログランキングに参加しています★
所在地:埼玉県熊谷市妻沼1511
アクセス:JR「熊谷駅」よりバス30分「聖天前」下車徒歩1分
拝観時間:9:30~16:00
拝観料:700円
御朱印:有(300円)
オリジナル御朱印帳:有
駐車場:有
公式サイト:http://www.ksky.ne.jp/~shouden/index.html
(※2019年9月18日現在の情報です。)